一人一人の凸凹に寄り添う「気になる子」「苦しんでいる子」の育て方

私が,後輩教員に伝えたいことを,金さんがこの本に全部書いてくれました。

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題名を見て,うすうす勘付いてはいたのですが,今までの金さんの本の中で一番好きです。

この本は,これからしばらくの間,学級経営の拠り所になるでしょう。

 

多くの教員が直面し,解決に迷う課題がここには書かれています。

その課題の完璧な解決方法はこの本には書かれていません。

つまり,そういうことなのだと思います。

今の子ども達が抱える課題を解決する,無二の「正解」は無いと思います。

でも,私もそうであったように,多くの教員は正解を探します。

それは仕方ないことです。

教師は,正解を教えることを求められますし,教師自身も正解を教えることで安心します。

体力が低下すれば,運動時間を増やします。

学力が低下すれば,学習時間を増やします。

メディアが問題になれば,ノーメディアに取り組ませます。

悪いことをしたら,叱ります。

どれも,正解です。

正解ですけど,万能ではありません。

正しくないとは言えませんけど,じわじわとひずみが出ます。

それは,正解というものには限界があるからです。

正解は,直観的に生まれます。

言い換えると,思考停止をすることで,正解は正解であり続けられます。

そう考えると,学校は思考停止する仕組みを内包した組織になってしまっているのかもしれません。

その現状に,どこか虚しさを感じます。

 

実際に生身の子ども達と接していて感じるのは,今は「正解」のない時代だということです。

子どもも,大人も,多様な世の中です。

あの子とその子は,違っています。

みんなに通用する手立てがあっても,みんなが同じ意味として受け取る手立てはありません。

そんな世の中で,教員も,もう「正解」をふりかざす必要はなくなってきていると思います。

でも決して,「何でもあり」を奨励することではありません。

目の前の現実の不確実性を前提として,確実性を求めていく教員の姿やありかたが,子どもにも,同様の力を育むのだと思います。

金さんは,次のように言います。

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「あなたのお家の人も,先生も,『これであなたが確実に伸びる』という方法を知っているならば,間違いなくそれを選択しています。だけど,それがわからないから,今日もここに立っています。(略)』

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教師が正解をふりかざさなくても,正直に自分と向き合うことで子どもは伸びます。

そして,教師がそのロールモデルになってあげられたら,子どもも幸せだと思います。

それでも現実はそう簡単ではありません。

まだまだ学校から,正解主義は無くならないでしょう。

正解主義を手放しても,学級の荒れへの怖れは無くならないでしょう。

それでも,人というものの生きる力を信じて,自分と向き合い続けようと思います。

金さん,本当に素敵な本,ありがとうございました。

この一冊が,私の次のステージへのスタートラインになりそうです。