『できる先生』が増えても,学校は変わらない

学級担任が大きな裁量を持ち,子ども達のお思いに寄り添いながら,担任の思いと知識,経験で学級を運営していく。学級にトラブルが起きれば,担任がリーダーシップをとって解決していく。
聞こえはいいですが,この指導体制で無理が生じている場面に多々遭遇します。
教師は,子どもの思いに寄り添うように努力しますが,子どもも多様化しています。
もし,教師と子どもが好ましい関係を築けなかったときに,他のクラスの恐い先生や管理職など,『指導できる先生』が指導に当たるというのが今の学校の現状です。
しかし,子どもの長期的な成長を考えた時に,これは最適ではないと思います。
子どもにとっては,権威が学級担任からほかの教師にシフトしただけで,学級担任との関係や大人との関係は何も変化していないからです。
 
子ども達は,社会の変化に敏感です。
現在,日本の民主化が徐々に進んでいることを肌で感じています。
ニュースを見れば,国会議員や芸能人が批判され,参政権は18歳以上に拡大し,女性の社会参加はより進展しています。教育にとっても,不祥事や体罰,いじめによる教師の質低下を感じさせるような報道を目にしています。
人は,法の下に平等であるという感覚が育ってきているのです。
間違っていることではありません。
しかし,ともすると,このことが教師にとって学級を動かすうえで足かせになります。
根拠のないことは,教師でも言えなくなるからです。
多くの学校は,民主化に取り残される形になっているのかもしれません。
 
では,どうしたら子どもと良い関係を築くことができるのか,それは担任の思いより明確な学校方針等の規準を設けることと子どもとの対話を重視するということだと思います。
先生が決めたから…だけでは,担任の裁量は大きいままですし,子どもが人に根拠を持つようになってしまいます。もし,先生との信頼をうまく築けない子がいたら,この関係は崩壊してしまいます。
明確な学校方針の下では,子どもと担任の関係は平等ですし,担任がその方針を守っていれば子どもとの信頼が築けます。
4月6日からでも,同じルールの下で行動できます。
そんな面倒な…と思う方が多いと思いますが,その通り民主主義は面倒な手続きが必要になることは,学校で習っているはずです。
ですが双方の幸せのために,その手続きは価値のあるものになります。
 
もう一つ,子どもを主権者の一員として認め,対話を図っていくことも大切です。
先生が決めたことに,子どもの裁量はありませんから責任もありません。
学級で決めたことには,学級の裁量ですから責任を持つようになります。
責任感を持たない児童に,裁量があるかどうかを見てください。
おそらく,少ないはずです。
 
『学級王国』はうまくいけば最高のクラスと感じられるでしょう。が,失敗したときに,他の先生が指導に入ると子ども達から「うちのクラスはこういうルールだから」と言われます。これを他の先生は否定できません。
『学級王国』では,ルール=先生だからです。
そう考えた時,『できる先生』に頼り『できる先生』を増やして独裁的な学校運営をするより,統一の規則に基づき教師と子どもがチームとなる学校運営の方が,より時代との整合性が図れていくのではないでしょうか。